EUによる欧州航空機大手エアバスへの金融支援をめぐり、EUが世界貿易機関(WTO)の是正勧告に従わず、依然として違法な支援を継続していると米国が訴えていた問題で、WTO紛争処理小委員会(パネル)は22日、米側の主張を大筋で認める判断を示した。米通商代表部(USTR)は声明で「米国の圧勝」と強調し、EUに対して直ちに違法な資金支援を打ち切るよう求めている。
エアバスへの支援をめぐっては、2004年に米国が不公正な補助金にあたるとしてWTOに提訴した。WTOは11年6月、エアバスが新型航空機の開発資金として英国、フランス、ドイツ、スペイン政府から低利融資の形で不公正な補助金を受け取り、最大のライバルであるボーイングに深刻な打撃を与えたと認定。EUはWTOの裁定を受け、是正勧告に従って改善策を講じたとする報告書を提出した。しかし、米側は対応が不十分としてこれを拒否し、12年に再提訴。WTOはEU側の対応を確認するためのパネルを設置し、是正措置の履行状況について審査を進めていた。
WTOによると、EUが勧告を受けて実施したと報告していた36項目の改善策のうち、34項目は妥当な措置と認定されなかった。USTRのフロマン代表は「WTOの裁定は国際貿易のルールを強化する内容で、米企業は公正な条件で製品を販売できるようになる」と述べ、EUに対して補助金の即時停止を求めた。
航空機補助金をめぐっては、EUも04年、米航空機大手ボーイングに対する支援策がWTOルールに違反するとして、米政府を逆提訴。WTOは11年、EU側の主張を大筋で認め、米政府に是正勧告を行った。しかし、EUは米政府の対応が不十分と主張し、WTOにパネル設置を要求。現在、米政府が是正勧告に従って適切な改善策を講じているかについて確認作業が進められおり、近くパネルが判断を示すとみられている。