スペイン大手銀行のカイシャバンクは21日、買収を目指すポルトガル同業のバンコBPIに対する株式公開買い付け(TOB)を開始すると発表した。BPIの株主総会で、買収の障害となっていた議決権制限の撤廃が承認されたのを受けたもの。23日には買収資金を調達するため、最大14億ユーロの増資を実施する方針を打ち出した。
BPIに45%を出資するカイシャバンクは4月、残る株式をTOBで取得し、同行を子会社化する意向を表明。TOB実施の条件として、カイシャバンクの議決権を20%に制限する条項の撤廃などを求めていた。
BPI買収をめぐっては、2位株主(持ち株比率18.6%)であるアンゴラの大富豪イサベル・ドス・サントス氏が難色を示していたが、BPIが同氏の求めに応じてアンゴラ部門の株式2%を同氏系企業に売却することを決めたことから、株主総会での投票を棄権する形で同条項の撤廃を支持。21日の株主総会で撤廃が承認され、カイシャバンクによるTOB実施の障害がなくなった。
カイシャバンクは残る株式を1株当たり1.113ユーロで買い取る方針を打ち出していたが、過去6カ月間のBPIの加重平均株価に基づき、同1.134ユーロに引き上げる。