大手格付け会社の米スタンダード&プアーズ(S&P)はこのほど、ハンガリーの長期信用格付けを「BBBマイナス」から1段階引き上げ、投資適格級の「BBプラス」とした。投資適格級となるのは2011年末以来。短期債務も「B」から「A」に引き上げられた。格付け見通しは「安定的」。
S&Pは他の大手格付け会社と比べて、経済政策の予見のしやすさ、事業環境といった数値化の難しい要因(ソフトファクター)を重視する傾向にあり、今回の格上げを市場は歓迎。19日のハンガリー株価指数は一時、9年ぶりの高値を記録した。また10年物国債の利回りは12ポイント低下の2.84%まで縮小した。
S&Pはハンガリー経済が個人消費の拡大などで、2019年まで年平均2.5%の成長を遂げると予測。政府債務の国内総生産(GDP)比も15年の75%から19年には70%に縮小するとみている。
S&Pとフィッチ・レーティングス、ムーディーズ・インベスターズ・サービスの3大格付け会社は、2010年に就任したオルバン首相の「非正統的」な経済政策運営などを理由に、数度にわたりハンガリー国債の格下げを行った。その後、経常収支の改善、債務削減や金融部門の改善を受けて段階的に格上げを実施。フィッチは5月の段階で「投資適格級」に引き上げており、3社のうち「投機的」としているのはムーディーズのみとなっている。