新民営化基金に国営企業を移管、ギリシャが法案可決

ギリシャ議会は9月27日、EUなどから金融支援継続の条件として求められている構造改革の関連法案を可決した。新たに創設する民営化基金に国営企業を移管することが柱となる。

ギリシャは金融支援の見返りに、国営企業の民営化を推進しなければならない。しかし、実施母体となる「ヘレニック資産開発基金(HRADF)」による民営化が難航し、これまでに決まったのがピレウス港運営会社の中国企業への売却など一部にとどまっている。このため、昨年12月に860億ユーロに上る第3次支援に基づく追加融資を取り付けた際、EUなどと新たな民営化基金を創設することで合意していた。

可決した法案は、国営の電力、水道会社やアテネ地下鉄の運営会社、軍用車メーカーなど有力国営企業を99年間にわたって新基金の管轄下に置くという内容。民営化対象の企業を一元管理することで、売却を円滑に進める狙いがある。EUによる28億ユーロの追加融資実施に向けて、改革の努力をアピールした格好となる。このほか議会は、新たな年金制度改革、電力市場自由化の拡大に関する法案も可決した。

ギリシャ政府は新基金に移管される国営企業のすべてが民営化されるわけではなく、合理化促進によって企業価値を高める意図もあると説明しているが、民営化が見込まれる国営企業の労組などが反発。国会前に数百人のデモ隊が集まり、「次はアクロポリスを売るつもりか!」といったプラカードを掲げて抗議活動を行った。国会の採決でも野党が反対に回ったが、与党が押し切り、賛成152、反対141の僅差で法案が可決された。

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