欧州司法裁判所の法務官は20日、米半導体大手インテルがEU競争法に違反したとして欧州委員会が巨額の制裁金を科した問題で、同措置は不当として決定の無効化を求めたインテルの主張を支持する見解を示した。インテルがパソコンメーカーにリベートを支払って同社製品の採用を求めた手法などを競争法違反と認定した一般裁判所の判決について、違法性が十分に証明されていないとして再度審理を行うべきだと指摘している。最終的に欧州裁が法務官の見解に沿った判決を下した場合、欧州委が調査を進めている他の事案に影響が及ぶ可能性がある。
欧州委は2009年、インテルがライバルの米AMDをパソコン用CPU市場から排除する目的で、リベートを支払う見返りに、パソコンメーカーにインテル製品の採用を求めたり、大手小売りチェーンにインテル製プロセッサ搭載パソコンのみを販売するよう求めていたとの調査結果をまとめ、こうした行為は市場支配的地位の乱用にあたると認定。1社に対する制裁金としては過去最高の10億6,000万ユーロの支払いを命じた。これに対してインテルは決定を不服として、欧州裁の一般裁判所(当時の第一審裁判所)に提訴した。
一般裁判所は14年6月、欧州委はインテルが戦略的に重要な販売ルートからAMDを排除するため、長期的戦略を実行していたことを法的根拠に基づいて示しており、制裁金の規模に関しても、08年の総売上高の4.15%に相当する金額は「不当な水準ということはできない」と指摘。欧州委の決定は「妥当」と結論づけた。インテルは判決を不服とし、欧州裁に上訴していた。
欧州裁のワール法務官は一般裁判所の判決について、インテルがパソコンメーカーに支払ったリベートが公正な市場競争を阻害したという判断の裏付けが十分に示されていないと指摘。一般裁判所で改めて審理する必要があるとの見解を示した。