欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/6/9

総合 – 欧州経済ニュース

6カ国の赤字是正手続き解除を勧告、仏伊の財政には厳しい評価=欧州委

この記事の要約

欧州委員会は2日発表したEU加盟国の財政状況に関する報告書で、オランダ、ベルギーなど6カ国に対する赤字是正手続きの解除を勧告した。一方、主要国のフランス、イタリアについては厳しい評価を下し、財政健全化の取り組みを強化する […]

欧州委員会は2日発表したEU加盟国の財政状況に関する報告書で、オランダ、ベルギーなど6カ国に対する赤字是正手続きの解除を勧告した。一方、主要国のフランス、イタリアについては厳しい評価を下し、財政健全化の取り組みを強化するよう促した。

EUは単年の財政赤字を国内総生産(GDP)比3%以内に抑えることなどを義務付ける財政規律に違反し、過剰な赤字を抱える加盟国に「過剰赤字是正手続き」を適用し、赤字削減を求めることになっている。現在の適用対象国は17カ国。

欧州委が同手続き解除を決めたのは、オーストリア、ベルギー、オランダ、デンマーク、チェコ、スロバキアの6カ国。いずれも財政改善が進み、今年の赤字がGDP比3%を割り込む見通しであることから、EU財務相理事会に解除を勧告した。さらに、ポーランド、クロアチアの2カ国について、赤字是正が進んでいると評価した。

フランスは赤字是正手続き適用国のひとつで、2015年までに赤字を許容範囲内まで削減することを求められている。イタリアは赤字がGDP比3%以内に収まっており、同手続きを発動されていないが、累積債務がユーロ圏でギリシャに次ぐ高水準の同135%に達しており、財政規律の上限である同60%を下回る水準まで圧縮する必要がある。

しかし、両国とも政府が経済成長、雇用重視に舵を切っており、このところ大型減税を打ち出すなど財政健全化に消極的な姿勢が目立っている。とくにフランスは先の欧州議会選で政権与党が惨敗したこともあって、財政緊縮に後ろ向きだ。欧州委は報告書で、こうした姿勢を批判し、構造改革の推進など財政健全化に向けた努力を強化するよう求めた。