スウェーデン乗用車大手のボルボ・カーズは2日、親会社である中国の浙江吉利控股集団との協業を拡大し、中国での生産を強化すると発表した。現地販売を増やすと同時に、中国の輸出拠点としての位置づけを高めるのが目的で、一部の高級セダン車の生産をスウェーデンから中国に移管する。また、浙江吉利傘下の吉利汽車と新工場を共同利用し、小型車を生産する。
生産を移管するのは高級セダン「S90」の新モデル。黒竜江省大慶市にある既存工場での生産に切り替える。さらにボルボは、浙江省台州市の路橋区に建設している新工場を吉利汽車とシェアし、小型車「40」シリーズを生産する。吉利汽車は同工場で、先ごろ発表したコネクテッドカーの新ブランド「Lynk&Co」を生産する計画だ。両車種はボルボと吉利汽車がスウェーデンで共同開発した「コンパクト・モジュラー・アーキテクチャー」のプラットフォームを利用するという。
ボルボは米フォードの傘下にあったが、2010年に浙江吉利に買収された。これを機に中国での販売が急拡大し、業績が大きく改善。さらに中国での輸出車生産も強化し、昨年に四川省成都市の工場で生産しているセダン車「S60」の対米輸出を開始した。
路橋工場は大慶、成都に次ぐ中国3番目の工場。吉利汽車が所有権を持つが、ボルボが運営することになっている。年内に稼働の予定だ。中国と海外の自動車メーカーによる現地工場のシェアは初となる。