欧州航空大手エールフランス─KLMは3日、傘下のエールフランスが長距離路線を運航する低価格の航空会社を設立する計画を発表した。競争力を高めて中東系航空会社や格安航空会社(LCC)に対抗するのが狙い。2017年下期をめどに運航を開始する予定だ。
新会社の名称や就航する路線は未定。パリのシャルル・ドゴール空港を拠点に事業を展開する。2020年までに10機を投入する計画だ。
運賃はLCC並みの格安とはならないものの、エールフランス本体とは別の労働協定を運航要員に適用し、人件費を下げることで、従来の長距離便より低い価格でサービスを提供する。パイロットは本体から募集し、客室乗務員は新たに採用するという。
エールフランス─KLMは競争激化で業績が悪化しており、同日発表した2016年7~9月期(第3四半期)決算は営業利益が前年同期比16%減の7億3,700万ユーロ、売上高が5.1%減の69億ユーロに落ち込んだ。
エールフランスにはフランス、オランダを拠点とするLCC部門トランサビアがあるが、今後は同社を短距離路線に特化させ、他のLCCに押されている同部門をてこ入れする。
同社は2014年、トランサビアの拠点を拡大し、LCC事業を増強する計画を発表したが、待遇悪化を懸念する労組が猛反発して長期ストを決行したことから、断念した経緯がある。長距離路線の低価格の航空会社設立にも労使が反発するのは必至と見られる。エールフランス─KLMのジャナイヤック最高経営責任者(CEO)は、「このままでは経営が立ち行かなくなることを労組は理解しなければならない」と述べ、業績改善に向けた同計画の必要性を強調している。