米グーグルが携帯端末向け基本ソフト(OS)「アンドロイド」関連事業でEU競争法に違反した疑いがあるとして、欧州委員会が警告している問題で、グーグルは10日、同委の見解に反論する文書を提出したことを明らかにした。アンドロイドの支配的地位を乱用して競争を阻害したとの指摘に対し、米アップルのモバイルOS「iOS」を引き合いに出し、「競争を阻害した事実はない」と主張している。
欧州委によると、欧州で使用されている携帯端末の90%以上がアンドロイドで動作している。同委はグーグルがスマホ市場における圧倒的なシェアを背景に、携帯端末メーカーに対し、同社のアプリを利用可能にする条件として、検索サービス「グーグルサーチ」やブラウザ「グーグルクローム」を初期設定でプリインストールするよう要請しており、それによって競合するOSの採用を制限するとともに、他社製のアプリを市場から締め出していると指摘。さらに、グーグルサーチを独占的にプリインストールする見返りとして、端末メーカーや携帯電話事業者に対して金銭的インセンティブを提供している点も問題視し、4月にグーグルに対して異議告知書を送付した。
グーグルのケント・ウオーカー法務担当上級副社長はブログへの投稿で、欧州委はアンドロイドがiOSとの競争に直面している事実を考慮しておらず、「スマートフォン市場の実態を見誤っている」と指摘している。また、アンドロイドとアプリの「抱き合わせ」に関しても、一部の自社アプリは無償で提供しているもので、メーカーに対していかなるアプリの標準搭載も義務付けていないと主張。「欧州委に提出した回答は、アンドロイドのエコシステムが慎重に利用者、アプリ開発者、端末メーカー、携帯電話事業者の利害の調整を図っていることを示している」と強調した。
欧州委はアンドロイドとは別に、グーグルの比較ショッピングサービスとインターネット広告事業についても競争法違反の疑いがあるとして、それぞれ異議告知書を送付している。グーグルは両案件について今月3日、「競争は十分に確保されており、他社への影響はない」とする反論を提出している。
欧州委はグーグルからの回答を踏まえ、早ければ年内にも最終的な判断を下す見通し。最終的に競争法違反と認定された場合、グーグルは1つの案件につき最大で74億ドル規模の制裁金を科される可能性がある。