米投資会社エリオット・マネジメントの子会社で訴訟ファイナンスを提供する英ベンサム・ヨーロッパは14日、価格カルテルを結んでいた欧州のトラック製造大手5社に対し、損害賠償請求訴訟を提起すると発表した。各社はすでに欧州委員会から総額29億3,000万ユーロの制裁金を科されているが、ベンサムは14年間のカルテル行為による損害額がおよそ1,050億ユーロに上ると試算しており、今回の集団訴訟で最終的な負担が大幅に膨らむ公算が大きい。
訴訟の対象は独ダイムラー、独フォルクスワーゲン(VW)傘下のMAN、スウェーデンのボルボ、オランダのDAF、伊イベコの5社。ベンサムは5社が14年間にわたり実施した価格カルテルにより、同期間に欧州市場で販売された約1,000万台のトラックに影響が及び、販売価格が1台あたり約1万500ユーロ引き上げられたと試算。対象となるトラックの購入者に訴訟への参加を呼びかける方針を示している。
欧州委は7月、訴訟対象の5社が1997年から2011年にかけてカルテルを結び、大型および中型トラックの販売価格を取り決めていたほか、EUの環境規制に対応した排ガス処理システムの導入時期と、同システムのコストを顧客に転嫁することを申し合わせていたと認定。カルテルが14年間という長期に及んだことなどを重視して、最初に協定を欧州委に通報したMANを除く4社に対し、カルテルの制裁としては過去最高額の罰金支払いを命じている。
同カルテルをめぐっては、スウェーデンのスカニアも関与が疑われている。欧州委は同社に対して異議告知書を送付済みだが、和解に応じていないため制裁額は決まっていない。