国連は22日、スイスで行われた南北キプロスの再統合に向けた協議が物別れに終わったと発表した。EUに加盟するギリシャ系のキプロス共和国(南キプロス)と、トルコ系の北キプロス・トルコ共和国の首脳が、国連の仲介で20日から2日間にわたって集中協議を行ったが、管轄地域をめぐる対立が解消せず、合意に至らなかった。
南キプロスのアナスタシアディス大統領と北キプロスのアクンジュ大統領は、7~11日の集中協議に続き、20~21日に協議を行った。
焦点となっているのは、再統合後の南北キプロスの管轄地域の線引き。人口がキプロスの18%に過ぎない北キプロスが領土の3分の1以上を支配している現状を是正するため、北キプロスが一部の管轄権を放棄することが求められている。
協議では北キプロス側の管轄権が及ぶ地域を3割程度まで縮小する方向で話し合いが行われ、2回目の協議で妥結するとの見方が浮上していた。しかし、折り合いがつかず、両大統領は帰国した。
ただ、溝は埋まりつつあり、北キプロスの管轄権に関する双方の主張は北キプロス側が29.2%、南キプロス側が28%と大きな隔たりはない。このため、国連の潘基文事務総長は年内の合意が可能との見通しを表明。南キプロスのアナスタシアディス大統領は23日、再協議に応じる用意があることを明らかにした。
キプロスは1974年にトルコ軍がキプロスに侵攻して北キプロスが誕生してから分断状態にある。北キプロスは国際的に承認されておらず、トルコだけが国家承認している。2004年4月に国連の統合案をめぐる住民投票が実施され、北キプロスが承認したが、南キプロスが否決したため、同年5月に南キプロスだけがEUに加盟した経緯がある。