世界貿易機関(WTO)の紛争処理小委員会(パネル)は11月28日、米政府が航空機大手ボーイングに不当な公的支援を行っているとしてEUの欧州委員会が提訴した問題で、EU側の主張を認め、米政府に対して90日以内に同支援をやめるよう求める裁定を下した。
今回の紛争で問題となったのは、ボーイングの次期大型旅客機「777X」の開発・製造に対するワシントン州の税制上の優遇措置。欧州委は57億ドルに上る同支援が、ボーイングが777X用の翼を国内で製造することや、資材を国内で調達することを条件としており、外国企業を不当に締め出しているとして、2014年に提訴していた。WTOはEUの言い分を支持し、同支援をWTO協定違反と認定した。
EUと米国は2004年から、欧州エアバスとボーイングの新型機開発に相手側が不当な支援を行っているとして、提訴合戦を繰り広げてきた。WTOは2011年から12年にかけて、EUのエアバス支援、米のボーイング支援はともに協定違反に当たるとの裁定を下し、痛み分けとなった経緯がある。
この紛争は同裁定で終息せず、双方は相手側がWTOの是正勧告に従わず、依然として違法な支援を継続しているとして提訴。WTOのパネルは9月、EUが是正を怠っていると認定した。米側が勧告に従っているかどうかについては、まだ判断が下されていない。