伊最大手銀行のウニクレディトは13日、増資と人員削減などを柱とする経営健全化計画を発表した。景気低迷や不良債権で悪化している財務を改善し、投資家の信頼を回復するのが狙い。増資額は130億ユーロで、同国史上で最大規模となる。
人員削減は全従業員の約1割に相当する1万4,000人。2019年末までに実施する。これによって人件費を11億ユーロ圧縮できると見込んでいる。このほか177億ユーロの不良債権をファンドなどに売却する計画や、イタリアとドイツ、オーストリアで944支店を閉鎖する方針も打ち出した。
株主割り当て増資は17年1~3月期に実施する計画。1月12日の臨時株主総会で承認を求めるこれによって9月末時点で10.8%となっている中核的自己資本比率が19年に12.5%まで上昇すると見積もっている。
ウニクレディトは業績不振で財務が悪化し、株価が急落。EUの欧州銀行監督機構(EBA)が域内主要銀行を対象に実施した2016年のストレステスト(健全性審査)でも低い評価が下された。7月に就任したジャンピエール・ムスティ最高経営責任者(CEO)は、こうした状況を乗り切るため、すでに資産売却に乗り出しており、10月に傘下の伊ネット銀行フィネスコ・バンクの株式20%を売却した。8日には保有するポーランドのペカオ銀行の株式32.8%を売却すると発表。さらに12日には、傘下の資産運用会社パイオニア・インベストメンツを仏同業アムンディに35億ユーロで売却することで合意した。