欧州委、米保険当局と「カバード・アグリーメント」締結で合意

欧州委員会と米連邦保険局(FIO)は13日、EU域内と米国に本社を置く保険会社および再保険会社が大西洋をまたいで事業展開しやすくするため、欧米間で規制を調和させて法的確実性を確保することで合意した。「カバード・アグリーメント」と呼ばれるEU・米間の協定に基づき、米国で活動するEUの再保険会社に課せられる担保要件が排除される。一方、EU側が米国の規制を保険分野の新たな規制「ソルベンシーⅡ」と同等と認定することにより、米国の再保険会社は自国の規制に基づいてEU域内で活動することが可能になる。協定の締結には欧州議会と米議会の承認が必要で、手続き完了には5年程度を要するとの見方が出ている。

米国では保険分野の監督が州レベルで行われており、州によって規制が異なる。2010年に施行されたドッド・フランク法(ウォール街改革および消費者保護法)の下、各州による規制に対し、必要に応じて財務省や通商代表部(USTR)が行使する独自の権限として導入された概念が「カバード・アグリーメント」で、規制による消費者保護水準の「同等性」について、米国と外国政府または当局との間で締結される国際的合意を指す。EUと米国は双方の規制の枠組みについて相互理解を深めるため、2012年に「対話プロジェクト」を立ち上げ、昨年2月からカバード・アグリーメントの締結に向けた交渉を進めていた。

米国の保険当局は外国の再保険会社に対し、米国の保険会社から引き受けるリスクについて、原則として100%の担保を要求している。英国、ドイツ、フランス、スイス、日本など7カ国に本社を置く再保険会社との取引に関しては、多くの州で担保割合を削減するなどの規制緩和が進められているが、今回の合意により、すべてのEU加盟国が「適格国」として認定され、米国内のすべての州で担保要件が排除される。

一方、EUが「ソルベンシーⅡ」と規制の枠組みが「完全に同等」と認定したのは、これまでのところスイスとバミューダの2カ国に留まっている。このためEU内で活動する米国の再保険会社に対し、担保を要求したり、支店の開設を求めるといったケースがみられる。EU・米間の協定により、米国に完全同等性の評価が与えられ、再保険会社に対する規制が大幅に緩和される。

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