米環境保護局(EPA)は12日、欧米自動車大手フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)が排ガス規制を逃れるため、ディーゼル車10万4,000台に違法なソフトウエアを搭載し、基準を超える有害物質を排出していた疑いがあると発表した。2015年9月に排ガス不正が発覚した独フォルクスワーゲン(VW)に続き、FCAにも巨額の罰金や民事制裁金が科される可能性が出てきた。
EPAの調査対象となっているのは、2014~16年型の多目的スポーツ車(SUV)「ジープ・グランドチェロキー」とピックアップトラック「ダッジ・ラム1500」。EPAはこれら2車種に搭載されているソフトが、検査時だけ窒素酸化物(NOx)などの排ガス低減機能を稼働させる違法な「ディフィート・デバイス(無効化装置)」かどうかについては明言を避けたが、排ガス制御ソフトの搭載について当局への申告義務を怠ったと指摘。引き続きソフトの機能や使用状況などについて調査を進めると説明している。
FCAは同日、問題とされるディーゼル車は「規制をすべて満たしている」との声明を発表。違法ソフトの使用を全面的に否定した。米メディアによると、FCAの規制逃れが認定された場合、最大46億ドルに上る制裁金の支払いを求められる可能性がある。
ディーゼル車の排ガス不正をめぐっては、VWと米司法省が今月11日、民事制裁金や罰金など計43億ドルをVWが米政府に支払うことで和解した(後続の