キリン、ブラジル事業売却でハイネケンと協議

オランダのビール大手ハイネケンは20日、キリンホールディングスからブラジル子会社を買収する方向で交渉を行っていると発表した。協議は進行中で両社が合意に達する保証はないと説明している。キリンも同日、声明を発表し、ブラジル事業の再建に取り組む一方、ハイネケンとの協議を含め、他社との戦略的提携などあらゆる選択肢を検討していることを明らかにした。ただ、ハイネケンへの事業売却で大筋合意したとの一部報道に関しては、「現時点で決定した内容はない」とコメントしている。

キリンは2011年、当時ブラジル2位だった「スキンカリオール」を約3,000億円で買収し、中国、米国に次ぐ世界3位のビール市場に参入した。しかし、ビール世界最大手のアンハイザー・ブッシュ・インベブ(ABI、ベルギー)が6割以上のシェアを握る中で苦戦を強いられ、ブラジル3位に後退。15年通期決算は1,100億円の損失を計上するなど不振が続いていた。

このため、キリンは昨年12月、12の現地工場のうち1つをAIBに売却するなどリストラを進める一方、昨秋からハイネケン、ABI、地場系の同業大手などとの間で資本面を含めた提携交渉を行っていた。リストラ効果や販売戦略の見直しにより業績が上向きつつあることから、ハイネケンを含む複数のビールメーカーがブラジル事業の一括買収を提案。売却額は1,000億円規模に上るとの見方が出ている。

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