シェンゲン5カ国の国境審査、欧州委が3カ月延長を提案

欧州委員会は25日、難民危機に対応するためシェンゲン協定の一部加盟国が一時的に復活させている国境審査について、5月中旬まで3カ月の再延長を認めるようEU加盟国に提案した。EUは早急に事態を収束させ、人の自由移動を定めた同協定の運用を速やかに正常化させたい意向だが、ギリシャからセルビアなどを通りドイツに至る「バルカンルート」などの現状を踏まえ、引き続き難民らの流入抑制策が必要と判断した。近く閣僚理事会を開いて欧州委の提案について協議する。

EU加盟国の大半が参加するシェンゲン協定の圏内では、中東などから押し寄せる難民や移民の流入に歯止めをかけるための緊急措置として、2015年秋以降、ドイツ、オーストリア、デンマーク、スウェーデンと、EU非加盟国ノルウェーが相次いで国境審査を復活させた。同協定の第26条は、治安などに深刻な脅威がある「例外的な状況」に限り、加盟国が原則6カ月の期限付きで国境審査を再導入し、改善がみられなければ最長2年まで同措置を継続することを認めている。EUは昨年5月、同条項に基づき、5カ国が国境審査を6カ月延長することを承認。シェンゲン圏内における国境審査の延長を認めるルールが初めて適用された。その後、11月に3カ月の再延長を決定。同措置は2月中旬に期限を迎えるため、欧州委が3度目の延長を提案した。

欧州委のティーマーマンス第一副委員長は依然として多くの不法移民がギリシャなどに留まっている現状に触れ、「シェンゲン圏内における国境審査の解除に向けて大きな進展があったが、さらに取り組みを進める必要がある。現状ではシェンゲン協定の機能正常化に必要な条件を完全には満たしていない」と指摘。加盟国に対し、さらに3カ月の延長を認めるよう求めた。

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