首脳会議でトランプ政権への懸念相次ぐ、関与継続もEUの立場主張へ

EUは3日、マルタの首都バレッタで非公式の首脳会議を開き、トランプ米政権との関係の在り方について協議した。トランプ氏の大統領就任後、EU首脳が一堂に会すのは初めて。各国首脳からはEUを軽視し、イスラム圏7カ国の出身者に対する一時入国禁止令など、物議を醸す政策を打ち出すトランプ大統領を警戒する声が相次いだ。

議長国マルタのムスカット首相は会議後の会見で、EUとしてトランプ政権に関与していく方針を確認したことを明らかにしたうえで、人権など欧米が共有してきた「原則が踏みにじられた」と判断した場合は「沈黙せず」、EUの立場を主張していく必要があるとの認識で一致したと述べた。

一方、トゥスクEU大統領は「米国との関係維持は政治的な優先課題だ」と指摘したが、関係強化に向けた具体的な道筋は示さなかった。トゥスク大統領は首脳会議を前に、英国を除く加盟27カ国の首脳に送った書簡で、トランプ政権をロシアや中国、イスラム原理主義と並ぶ「外的脅威」と名指しして批判。トランプ大統領が相次いで打ち出す政策について「EUの将来を極めて不確実にしている」と強い懸念を表明していた。

首脳会議では、先月27日にトランプ大統領と会談した英国のメイ首相が会談内容を報告したが、トランプ氏が「英国にとってEU離脱はすばらしい決断」「他の加盟国も英国に追随するだろう」などと発言したことに対し、各国首脳から批判が続出。EUと米国の橋渡し役を買って出るメイ首相の目論見は大きく外れた。

一方、欧州議会の主要3会派は2日、トゥスク大統領と欧州委員会のユンケル委員長に連名で書簡を送り、トランプ大統領と親しい実業界のテッド・マロック氏が新たな駐EU大使に任命された場合、信任を拒否するよう求めた。同氏は駐EU大使の最有力候補と目されているが、先月末には英BBCとのインタビューで、共通通貨ユーロが将来「崩壊」する可能性があるなどと発言。また、3日には米テレビ番組でユーロ安について言及し、ドイツが為替相場を操作しているとの認識を示した。

上部へスクロール