欧州委員会は10日、フランス政府が計画している太陽光発電および水力発電に関連した3件のプロジェクトに対する支援策を承認した。仏国内で新たに約2,660メガワット(MW)の電力供給を可能にするプロジェクトへの公的支援は、再生可能エネルギーの利用促進に取り組むEUの政策に合致しており、国家補助規定に抵触する恐れもないと判断した。
EUが2009年に制定した「再生可能エネルギー指令」は、2020年までにEU全体で域内における最終エネルギー消費の少なくとも20%を再生可能エネルギーで賄うという目標を設定し、加盟国に対して2年ごとに進捗状況を欧州委員会に報告することを義務づけている。フランスは同指令に基づいて20年までにエネルギー消費の23%を再生可能エネルギーで賄うとの目標を掲げ、発電設備などの導入を進めている。
欧州委が今回承認したプロジェクトは◇発電容量100キロワット(KW)未満の太陽光発電設備(電力供給量は計1,500MW)を対象とする買取価格優遇措置◇発電容量100KW以上の太陽光発電設備(電力供給量は計1,100MW)を対象とする買取価格優遇措置(入札で受益者を選定済み)◇最大で計60MWを供給する水力発電設備を対象とする固定買取価格(FIT)またはフィード・イン・プレミアム(FIP=再生エネルギー発電事業者が電力卸市場で電力を販売する際、市場価格にプレミアムを上乗せする方式)制度上の優遇措置(入札で受益者を選定予定)――の3件。2件の太陽光発電プロジェクトに対する支援額は年間4億3,900万ユーロ(向こう20年間で総額88億ユーロ)、水力発電プロジェクトに対する支援額は年間2,500万ユーロ(向こう20年間で総額5億ユーロ)となっている。