ノキアがソフト開発のコンプテル買収、ネットワーク事業を強化

フィンランドの通信機器大手ノキアは9日、通信事業者向けソフトウェア開発を手掛ける地場系のコンプテルを3億4,700万ユーロで買収すると発表した。ノキアは通信ネットワークのデータ管理ソフトなどの有力サプライヤーであるコンプテルの買収を通じ、中核のネットワーク事業を強化する。

ノキアはコンプテル1株につき3.04ユーロを支払う。これは8日の終値に29%上乗せした水準。コンプテルの取締役会と株式48%を保有する株主はノキアの買収提案に支持を表明している。

ノキアは次世代の携帯通信規格である第5世代(5G)の技術開発で優位に立つため、2015年に同業の仏アルカテル・ルーセントを156億ユーロで買収する計画を発表。昨年1月に合併手続きを完了した。ただ、現行の4GやLTE向けソリューションの需要はすでにピークを迎えたうえ、移動体通信のネットワーク仮想化が進む中でソフトウェアへの依存度が高まっており、ノキアやスウェーデンのエリクソン、中国の華為技術(ファーウェイ)など従来型の通信機器メーカーは苦戦を強いられている。

ノキアはネットワークのポリシー制御や課金処理技術などに強みを持つコンプテルの買収により、「独立したネットワーク事業を拡充する戦略」が大きく前進すると強調している。

コンプテルの技術には通信事業者向けソリューションでシェア拡大を狙うソフトウェア企業なども関心を寄せており、ノキア以外に複数の企業が同社の買収を検討していたとみられている。フィンランドの資産運用会社FIMのアナリストはノキアの動きについて、コンプテルがライバル企業に買収されて「潜在的な脅威」になるのを防ぐ狙いがあったと分析している。