欧州議会は5日の本会議で、EUと英国の離脱交渉について、離脱条件の交渉と自由貿易協定(FTA)締結に向けた交渉の並行協議を認めないことなどを求める決議案を賛成多数で採択した。EUのトゥスク大統領(欧州理事会常任議長)が示した交渉の方針を追認した格好となる。
英政府は3月29日、EUに離脱を正式通告した。これを受けて英国を除く加盟27カ国は、4月29日に開く特別首脳会議で離脱交渉の基本方針を決めた上で、英国との離脱交渉に入ることになっている。
英国は離脱交渉と並行し、EUとのFTAなど新たな関係構築に向けた協定の交渉を進めることを望んでいる。しかし、トゥスク大統領は31日に27カ国に提示した離脱交渉の指針案で、英国が約束していたEU予算などへの最大600億ユーロの拠出の支払い問題や、英国に居住するEU市民の権利保護など主要な離脱条件について協議し、これに「十分な進展」があったと判断した時点で、FTAなどの交渉に応じるという方針を打ち出していた。欧州議会が賛成516、反対133で採択した決議は、この指針案に沿った内容だ。
