欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/6/16

ロシア・CIS・その他

ガスプロムがリトアニアのガス2社の株式売却へ、競争法違反の認定受け

この記事の要約

リトアニア政府は12日、ロシアの国営ガス会社ガスプロムが、保有するリトアニアのガス会社アンバー・グリッドとリエトゥヴォス・ドゥーヨスの株式を売却する方針を固めたことを明らかにした。これはリトアニアの競争当局が前日、ガスプ […]

リトアニア政府は12日、ロシアの国営ガス会社ガスプロムが、保有するリトアニアのガス会社アンバー・グリッドとリエトゥヴォス・ドゥーヨスの株式を売却する方針を固めたことを明らかにした。これはリトアニアの競争当局が前日、ガスプロムが同国のガス供給市場から不当に競合他社を閉め出しているとして、1億2,300万リタス(約3,570万ユーロ)の制裁金を科したのを受けた措置。リトアニアは国内で消費される天然ガスと原油をすべてロシアからの輸入に頼っているが、エネルギー源や調達先の多様化を進めて脱ロシア依存を図ろうとしている。ガスプロムが競争法違反の認定を受けて主要ガス事業者への出資を引き揚げることで、こうした取り組みが前進するとみられている。

ガスプロムをめぐっては、中・東欧における独占的な地位を乱用し、ガス供給ルートの多様化を阻害したり、ガス価格を不当につり上げるなど、域内のガス市場で公正な競争を阻害している可能性があるとして、欧州委が2年前から同社に対する調査を進めている。こうしたなかでリトアニア競争当局は11日、ガスプロムが電力・ガスの生産・供給事業と輸送事業の分離を定めたEUルールに違反し、ガス供給市場への他社の参入を阻害しているとして、過去最高となる制裁金を科した。

ブトケビチュス首相が発表した声明文によると、ガスプロムは送ガス事業大手アンバー・グリッドとガス小売り大手リエトゥヴォスの株式37.1%を総額1億4,080万ユーロで国有企業2社に売却することで合意した。買い手側の2社は5月、独エネルギー大手エーオンからアンバー・グリッドとリエトゥヴォスの株式38.9%を総額1億1,320万ユーロで取得している。リトアニア政府は将来的に両社に対する持ち株の一部を外部の投資家に売却する可能性もあるとしている。

リトアニアは現在、バルト海に面したクライペダにLNG(液化天然ガス)基地の建設を進めており、年内の稼働を目指している。