英デリバティブ清算機関に移転要請も、EU離脱で欧州委

欧州委員会は4日、デリバティブ(金融派生商品)取引の清算業務をめぐり、ユーロ建て取引の大半を扱う英国の清算機関に対し、ユーロ圏内への移転を求めることなどを検討していることを明らかにした。英国のEU離脱に伴い、ロンドンに拠点を置く清算機関がEU規制の対象外となることに対応するための措置で、欧州委は6月に法案を提出する方針。金融規制はEU離脱交渉の焦点の1つだが、清算機関の移転やEU当局による監督強化に英側が反発するのは確実で、調整は難航しそうだ。

国際決済銀行(BIS)によると、ユーロ建ての金利デリバティブ取引のうち、英国での取引が約75%を占めている。EU内では非ユーロ圏の英国がユーロ建て金融取引の中核を担っていることに対する不満が根強く、英国のEU離脱を機に、清算業務の拠点をロンドンからユーロ圏に移すべきだとの声が高まっている。

欧州委は4日まとめた政策文書で、英国のEU離脱によって同国の清算機関がEUのデリバティブ規制の対象外となった場合、金融システム全体に悪影響が及ぶおそれがあると指摘。ドムブロフスキス副委員長(ユーロ・社会対話・金融サービス担当)によると、欧州委は◇EU当局の権限を拡大して域外の清算機関に対する監督を強化する◇域外の清算機関にユーロ圏内への移転を求める――などの可能性について検討を進めている。同副委員長は会見で、「現在はさまざまな選択肢とその影響について精査している段階だ。現時点で何も決まっていないし結論を急いでいない」と述べた。

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