EU首脳とトランプ米大統領が初会談、TTIPや気候変動で溝埋まらず

EUのトゥスク大統領、欧州委員会のユンケル委員長は25日、ブリュッセルのEU本部でトランプ米大統領と会談した。テロ対策での協力強化では一致したものの、EU・米間の環大西洋貿易投資連携協定(TTIP)や気候変動問題などでは溝が埋まらなかった。

トランプ氏がEU首脳と会談するのは、1月の大統領就任後、今回が初めて。トゥスク氏は記者団に対し、外交、安全保障、気候変動、通商政策が会談の主要議題だったと説明。テロ対策など「多くの分野」で意見が一致したものの、気候変動や通商問題では「課題が残された」と述べた。

一方、ユンケル氏はトランプ政権の誕生で「凍結」状態が続いているTTIP交渉が議題にのぼったかどうかについては言及を避けたうえで、「自由・公正な競争を確保することが重要との認識で一致した」と発言。「貿易面での協力強化」に向け、今後「数週間から数カ月」のうちに双方の交渉担当官による会合を開く方針を明らかにした。

気候変動問題では、トランプ氏は地球温暖化に懐疑的な立場を表明しており、選挙戦では地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」からの離脱を訴えていた。途上国を含むすべての締約国に温室効果ガス削減を義務づけるパリ協定は、EU主導で合意にこぎつけた経緯があり、EUはトランプ政権に対し、協定に留まるよう求めている。

会談ではこのほか、ロシアに対する経済制裁についても話し合われた。トゥスク氏は対ロシア政策をめぐり、「トランプ氏と共通の認識を持っているか、100%の自信はない」と述べ、ウクライナ問題への対応などをめぐり、欧米間に意見の隔たりがあることを認めた。

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