食品・飲料大手のネスレ(スイス)は20日、調理済み食品の製造・ネット通販を手がける米フレッシュリーに出資したと発表した。これによって100億ドル規模に上る米国の同市場での収益基盤を強化すると同時に、フレッシュリーの物流ネットワークを活用して事業を展開していく。
フレッシュリーは2年前に創業した新興企業。人工添加物を使わない健康志向の調理済み食品の通販事業を展開している。ネスレは同社が事業拡大のため実施した総額7,700万ドルの増資の一部を引き受け、少数株式を取得した。正確な出資額、持ち株比率は公表していないが、ネスレの米食品部門のジェフ・ハミルトン社長がフレッシュリーの取締役会に加わるという。
ネスレは調理済み食品で世界最大手。米国ではこのところ苦戦しており、市場調査会社ユーロモニターによると2016年のシェアは17.4%、11年の18%から低下した。アマゾンによる自然・有機食品小売り大手ホールフーズ・マーケットの買収で、同市場をめぐる環境が激変する中、フレッシュリーへの出資によって事業のてこ入れを図る。
今回の出資は、健康食品など有望分野に経営資源を集中する戦略にも沿ったものとなる。ネスレは15日、同戦略の一環として、米国の菓子事業からの撤退を検討していることを明らかにしていた。