スコットランド、独立めぐる住民投票実施を延期

英国のEU離脱に批判的なスコットランド自治政府のスタージョン首相は6月27日、英国からの独立の是非を問う2度目の住民投票を実施する計画を延期すると発表した。当初は2018年秋にも実施する方針だったが、計画を「リセット」し、改めて時期を設定する。

英国で昨年6月に実施されたEU離脱の是非を問う国民投票では55%が離脱に賛成したものの、スコットランドでは残留派が62%と多数を占めた。残留派だったスタージョン首相は、2014年に実施した住民投票で独立が僅差で否決されたが、英国がEU離脱を決めたことで状況が変わり、スコットランドが英国の道連れとなってEU単一市場から締め出されるのは受け入れられないとして、2度目の住民投票を実施する意向を表明。自治政府の議会は3月末、投票実施に向けて、自治政府が英政府と交渉を行うことを賛成多数で承認した。

スタージョン首相は住民投票実施の法案を早期に成立させ、英国のEU離脱に先立つ18年秋から19年春にかけて実施する方針を打ち出していた。しかし、スコットランド議会で行った演説で、自身が党首を務めるスコットランド民族党(SNP)が先の英下院選で、改選前を21議席下回る35議席に減ったことや、英政府のEU離脱戦略が不透明となったことから、現時点での法案成立を見送ると発表。英国がどのような形で離脱するかが固まるまで、計画を凍結することを明らかにした。英国とEUの離脱交渉が大詰めを迎え、離脱の行方が明確になると目される18年秋をめどに、実施の可否、時期を判断するとしている。

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