欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/6/23

西欧

米医療機器大手メドトロニック、アイルランド企業を買収

この記事の要約

医療機器大手の米メドトロニックは15日、アイルランドの業コヴィディエンを買収することで合意したと発表した。買収額は429億ドル。メドトロニックは米国の医療保険制度改革で縮小している収益の拡大と、本社を法人税率が低いアイル […]

医療機器大手の米メドトロニックは15日、アイルランドの業コヴィディエンを買収することで合意したと発表した。買収額は429億ドル。メドトロニックは米国の医療保険制度改革で縮小している収益の拡大と、本社を法人税率が低いアイルランドに移転することよるコスト節減を見込み、過去最大規模の買収に踏み切った。

メドトロニックは現金と株式交換を組み合わせた形で実施する。1株当たりの買い取り価格は93.22ドルで、前営業日(13日)の終値に29%を上乗せした水準となる。

メドトロニックは世界2位の医療機器メーカーで、心臓ペースメーカー、インスリンポンプで大きなシェアを持つ。コヴィディエンはステープラーなど外科手術用機器が主力事業となっている。

メドトロニックは買収後に本社を税率が低いアイルランドに移し、事業本部は米国に置く。業務や生産施設の統廃合を含めて、2018年までに年8億5,000万ドル以上のコストを節減できると見込んでいる。同社はコスト削減で浮いた資金を収益基盤の拡大に充てる方針で、向こう10年間で買収、技術開発などに100億ドルを投資する計画だ。

米国の医療企業では医療保険制度の改革で圧迫される収益を拡大するため、買収に打って出る動きが活発化しており、整形外科向け医療機器大手ジンマー・ホールディングス4月、米同業バイオメットを134億ドルで買収することで合意したばかり。また、後発薬(ジェネリック薬)大手のアクタビス(旧米ワトソン・ファーマシューティカルズ)が13年にアイルランドのワーナー・チルコットを85億ドルで買収し、本社をアイルランドに移すなど、絶税目的の買収の動きも活発化している。米ファイザーが英アストラゼネカの買収に乗り出したのも、同様の動機が背景にあった。