EUが排ガス試験を厳格化、新型車に路上試験義務付け

EU市場で販売される自動車の排ガス試験が9月1日付で厳格化され、自動車が実際に路上を走る際の排ガス量を測定する「実走行排ガス試験(RED)」が導入された。独フォルクスワーゲン(VW)による排ガス不正問題を受けた規制強化策の一環。第1弾として、EU加盟国の規制当局から新たに型式認証を受ける新型車に路上試験を義務付け、2年後には域内で販売されるすべての新車に対象を拡大する。

EUでは2010年頃から試験場で行われる排ガス試験の検査手法を見直す動きが出ていたが、自動車業界の強い反発で路上試験の導入が遅れていた。しかし、15年9月にVWが一部のディーゼルエンジン車に試験時だけ排ガス浄化機能をフル稼働させる違法ソフトを搭載していた問題が発覚したことで、ようやく加盟国の足並みが揃い、昨年2月に路上試験の導入計画が欧州議会で承認された。

ただ、路上走行時の窒素酸化物(NOx)排出量は現行規制の排出上限(走行1キロメートルあたり0.08グラム)の平均5倍に上るとされ、業界側はあらゆる環境や条件下で室内試験と同じ規制値を満たすことは技術的に困難と猛反発。このためNOxの排出上限を一時的に緩和し、新型車は17年9月(既存モデルの新車は19年9月)まで現行の規制値の2.1倍、その後20年1月(既存モデルは21年1月)までは1.5倍まで超過を認める「移行措置」が盛り込まれた。

欧州委員会のビェンコフスカ域内市場・産業・起業・中小企業担当は「走行時に二酸化炭素(CO2)や大気汚染物質を排出しないゼロ・エミッション車への完全移行が最終的な目標だが、現実にはまだ当分の間、ディーゼル車が生活の一部であり続けると考えられる。このため早急に消費者の信頼を回復する必要があり、それにはより信頼できる排ガス試験を実施することが不可欠だ」と強調した。

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