EU司法裁判所は6日、米半導体大手インテルがEU競争法に違反したとして欧州委員会が同社に巨額の制裁金を科した問題で、欧州委の決定を支持した一般裁判所の判決を破棄し、審理を差し戻した。欧州委の決定を不服として訴えを起こしたインテル側の主張が十分に検証されていないと指摘し、同社の商慣行が競争を制限したかどうか改めて分析するよう求めている。欧州委はEU競争法を厳格に適用し、違反企業に巨額の制裁金を科してきたが、司法裁の判断が今後の競争政策に影響を及ぼす可能性もある。
欧州委は2009年、インテルがライバルの米AMDをパソコン用CPU市場から排除する目的で、大手パソコンメーカーに自社製品の採用を求めたり、大手小売りチェーンに自社製プロセサ搭載パソコン以外は販売しないよう求める見返りに、リベートを支払っていたとの調査結果をまとめ、こうした行為は市場支配的地位の乱用にあたると認定。1社に対する制裁金としては過去最高(当時)の10億6,000万ユーロの支払いを命じた。インテルは決定を不服として提訴したが、一般裁判所は14年、欧州委の判断を支持する判決を下し、インテルが控訴していた。
司法裁は判決で、「リベートが競争を制限した事実はない」とするインテルの主張が十分に検証されていないと指摘。欧州委の決定が妥当だったかを再審理するよう一般裁に命じた。
司法裁の判断は欧州委にとって痛手となりそうだ。同委は6月、米グーグルがインターネット検索市場における支配的地位を乱用し、買い物検索サービスで公正な競争を妨げたとして、過去最高額となる24億2,000万ユーロの制裁金を科した。大手IT企業などに巨額制裁金を命じる欧州委の強硬姿勢に対しては、「米企業を標的にしている」との批判も根強い。法律家らは今回の判決を機に、制裁金を科された企業が欧州委を提訴するケースが増えるとの見方を示している。