独自動車大手ダイムラーは21日、米アラバマ州のタスカルーサ工場でSUVモデルの電気自動車(EV)を生産すると発表した。EV、ハイブリッド車(HV)の販売強化戦略に基づくもので、同工場の近くに車載電池の生産施設も新設する。物流拠点の拡充も含めて総額10億ドルを投資し、600人強の新規雇用を創出する計画だ。
同社は電気駆動車専門ブランド「EQ」のSUVを2021年頃からタスカルーサ工場で生産する。最新の自動運転技術を搭載する考えだ。
同工場ではSUVの次世代モデル投入に伴い近い将来、プラグインハイブリッド車(PHV)の製造も開始する。同社はエンジン車も含めすべての車両を混流生産し、需要に柔軟に対応できるようにする。
電池工場は面積が9万平方メートル以上で、来年に着工。タスカルーサ工場での電気SUVの生産開始に合わせて操業を開始する。同工場は独カメンツ(計2工場)、本社所在地シュツットガルト、北京に続くダイムラー5カ所目の電池生産拠点となる。
同社はこのほか、タスカルーサ工場から約8キロ離れたビブ郡に組立部品の輸出拠点「グローバル・ロジスティックス・センター」と北米市場向けの交換部品供給拠点を開設する。グローバル・ロジスティックス・センターは19年に開業し、世界のメルセデスベンツ車組み立て工場に部品を供給する。交換部品拠点は20年末の業務開始を予定している。
ダイムラーは11日、乗用車部門で電気駆動車を大幅に拡充する方針を明らかにした。「メルセデス」ブランドの全モデル(計50以上)で22年までにEVないしHVの販売を開始するほか、超小型車ブランド「スマート」を2020年からEVに一本化する。
同社は今回の投資計画により、EV専門メーカーの米テスラに対抗するとともに、米国事業に注力していることをアピール。輸入車関税の引き上げも辞さない構えのトランプ政権に再考を促す考えだ。競合の独BMWも米スパータンバーグ工場に6億ドルを投資し雇用を拡大することを6月に表明している。