欧州中央銀行(ECB)は4日、ユーロ圏の銀行の不良債権処理に関する新ルールの案を発表した。新たに発生する不良債権について、100%の貸倒引当金を計上するよう求める。2018年1月から実施する方針だ。
対象となるのは18年1月以降に生じる不良債権。無担保の不良債権は2年以内、担保がある債権は7年以内に100%の引当金を計上することを求める。引き当ての期限、規模に関する明確な指針がない現在のルールと比べて、大きく厳格化されることになる。
ユーロ圏の銀行の不良債権は3月末時点で8,650億ユーロ。前年同期の9,500億ユーロから縮小したものの、なお高水準にあり、不良債権比率は約6%に上る。とくに金融危機で大きな打撃を受けたイタリア、ギリシャ、スペインなどの銀行で不良債権処理が進んでいない。
ECBはこうした状況がユーロ圏の金融システムの健全性を損ない、実体経済に悪影響を及ぼしていることから、ルールを厳格化して処理を促す。新ルールを順守できなかった銀行は説明を求められ、妥当な理由がない場合は処分が下される。
同ルールは新規に発生する不良債権が対象だが、ECBは既存の不良債権の処理についても来年3月末までに何らかの指針を発表する予定だ。