欧州委員会は2日、リトアニア国鉄のリトアニア鉄道が国内の鉄道インフラ市場における支配的地位を乱用し、貨物輸送サービスで公正な競争を阻害したとして、約2,800万ユーロの制裁金を科したと発表した。
今回の事案は、ポーランド最大の石油精製会社PKNオルレンの子会社で、リトアニア鉄道の主要顧客の1つであるABオルレン・リトアニアが、ラトビア向け貨物輸送で他の鉄道会社を利用しようとしたことが発端。リトアニア鉄道はこれを阻止するため、リトアニアとラトビアを結ぶルートで19キロメートルにわたって線路を切断し、ABオルレンは迂回ルートを利用せざるを得なくなった。
欧州委はABオルレンからの苦情を受け、立ち入り調査を経て、2013年にリトアニア鉄道に対する本格調査に着手。同社の商慣行はEU競争法に違反するとの結論をまとめ、2015年1月に異議告知書を送付していた。
欧州委のベスタエアー委員(競争政策担当)は声明で「リトアニア鉄道は国内の鉄道インフラ事業における支配的地位を乱用し、競合他社を市場から排除しようとした。自社の優位性を維持するため、公共インフラの線路を切断するという行為はとうてい容認できない前代未聞の暴挙だ」と厳しく非難。同社に対し、制裁金の支払いと共に、ただちに断絶したままのルートを復旧するよう命じた。