欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/6/30

EU産業・貿易

ロシアによる豚肉禁輸、EUがWTOにパネル設置を要請

この記事の要約

ロシアが伝染病の発生を理由にEU産豚肉の輸入を禁止している問題で、EUは世界貿易機関(WTO)に紛争処理小委員会(パネル)の設置を要請したもようだ。AFP通信が27日、関係者の話として報じた。 ロシアは1月、リトアニアと […]

ロシアが伝染病の発生を理由にEU産豚肉の輸入を禁止している問題で、EUは世界貿易機関(WTO)に紛争処理小委員会(パネル)の設置を要請したもようだ。AFP通信が27日、関係者の話として報じた。

ロシアは1月、リトアニアとポーランドで野生のイノシシにアフリカ豚コレラが発生したことを受け、EU産豚肉の輸入を全面的に禁止した。EUはデンマーク、オランダ、ドイツなど、感染例が報告されていない加盟国の豚肉も一律に輸入を禁止するのは不当だと主張し、4月にWTOに提訴。話し合いでの解決に向けロシアとの間で協議を行ってきたが、不調に終わったため、WTOの手続きに沿って紛争解決機関(DSB)にパネル設置を要請したとみられる。

EUは年間輸出量の4分の1に相当する70万トンの豚肉をロシアに輸出しており、欧州委員会は禁輸措置による損失が業界全体で1日当たり400万ユーロに上ると試算している。ロシア側は感染が東欧諸国などに広がる恐れがあるとして全面禁輸の正当性を主張しているが、感染が確認されたベラルーシからは引き続き豚肉を輸入しており、EUは差別的扱いでWTOルールに違反すると反論している。

ロシアはEUにとって第3位の貿易相手国だが、ウクライナ情勢をめぐる対立から通商関係が悪化しており、豚肉の禁輸もEUによる対ロ制裁への対抗措置との見方が出ている。