EUは19日開いた首脳会議で、欧州委員会に対して米グーグルやフェイスブックなど、国際的に事業展開する大手インターネット企業に対する課税強化策を2018年初頭までに取りまとめるよう求めた。ただ、低税率を武器に域外の企業を誘致してきたアイルランドなどの反発が根強いことから、課税強化は経済協力開発機構(OECD)が検討している国際的なルールに沿って行う必要があるとの認識で一致した。
欧州委員会は9月、EU域内で活動する有力ネット企業が国によって異なる課税ルールを利用して、合法的に租税回避している現状に対処するため、IT企業に対する課税制度の見直しに着手すると発表した。短期的な対策として◇ネット企業の課税ベースを利益から売上高に移行する◇域内で得た広告収入を課税対象とする◇ネット企業への支払いに源泉徴収税を課す—-という3つの案について検討を進める方針を打ち出している。
多国籍企業の租税回避防止策をめぐっては、経済協力開発機構(OECD)が来春までに国際的な枠組みを提示することになっている。米国のIT企業などが欧州事業の拠点を置くアイルランドやルクセンブルクなどは、国際的な取り決めがないままEUが単独で課税強化に踏み切った場合、自国の競争力が低下すると主張。早期の制度改革を求めるフランス、ドイツ、イタリア、スペインなどの間で温度差がある。
首脳会議で採択された総括文書は「欧州委が18年初頭までに適切な提案を行うことを期待する」と表明。そのうえで、加盟国の立場の違いを考慮して「OECDが進めている取り組みに沿って、国際的に平等な競争条件を確保する必要がある」と指摘した。