独自動車大手の独ダイムラーは16日、すべての事業部門を自立した子会社とし、本体を持ち株会社化する計画を明らかにした。市場と顧客ニーズの変化に柔軟かつ迅速に対応できる体制の構築が狙いで、ディーター・ツェッチェ社長は「競争力を保ち利益を持続的に確保するためには常に発展し急速な環境変化に対応できなければならない」と強調した。今後は持ち株会社化に向けた調査をさらに進めるほか、従業員代表と協議。取締役会と監査役会の決議を経て株主総会で最終決定を下す。早ければ2019年の株主総会で決定する。
ダイムラーではすでに金融部門ダイムラー・ファイナンシャル・サービシズ(DFC)が自立した子会社となっているものの、その他の事業部門は分社化していない。新たに乗用車部門、トラック・バス部門も分社化し、3つの事業会社を傘下に持つ持ち株会社となる。
一方、同社が20日発表した2017年7~9月期(第3四半期)決算の純利益は22億6,800万ユーロとなり、前年同期から17%減少した。ディーゼル車のリコール(無料の回収・修理)、排ガス制御ソフト修正の費用が収益を圧迫した。
同期の販売台数は9%増の82万4,100台に拡大し、売上高は6%増の408億700万ユーロに伸びた。しかし、同社のディーゼル車が排ガス規制逃れのため違法ソフトウエアを搭載している疑いが浮上し、高級車ブランド「メルセデス・ベンツ」のディーゼルエンジン車でリコールを実施。さらに、ドイツ政府との合意に基づき、旧式ディーゼル車の排ガス制御ソフトを修正し、窒素酸化物(NOx)排出を削減する取組みに着手したため、合わせて4億ユーロを超えるコストが生じ、収益が悪化した。営業利益も14%減の34億5,800万ユーロに落ち込んだ。