三井物産は26日、電気自動車(EV)充電システムを提供し、EV用電池を利用した電力事業を展開する独新興企業ザ・モビリティ・ハウス(TMH)に独自動車大手ダイムラーとともに資本参加したと発表した。TMHの成長を支援するとともに、再生可能エネルギーとEV導入が加速している欧州で先進的ビジネスモデルの事業化に取り組み、米国や日本なの他地域での事業拡大を目指す。出資額や出資比率は明らかにしていない。
自動車業界では多くのメーカーがEVシフトを鮮明化していることから、EVの普及が今後、本格化すると見込まれる。一方、電力業界では発電量が天候に大きく左右される太陽光・風力発電の急増を受けて配送電系統の負荷が増大。EVの利用が増えると同負担が一段と高まることから、蓄電システム導入などの系統安定化ソリューションや、電力需給バランスの状況に合わせたEV充電タイミングの自動調整が求められている。
TMH社はこうした課題を踏まえ、ダイムラーなどのEVメーカーと提携し、法人・個人顧客に向けに最適なEVスマート充電ソリューションを提供している。また、ダイムラーとの共同事業として、EV用電池を組み上げた合計出力30MWの蓄電システムをドイツに建設し、系統運用者向けに蓄電サービスを提供している。さらに、駐車中のEVから電力網に電力を融通し、EV所有者電力収入を獲得できるようにする技術(V2G)の事業化も進めている。
TMHは2009年の設立で、独南部のミュンヘンに事業拠点を置く。従業員数は約50人。