クロアチア、7~8年後ユーロ導入=プレンコビッチ首相

クロアチアのプレンコビッチ首相は10月30日、今後7~8年以内に欧州単一通貨ユーロを同国に導入したいとの考えを明らかにした。EU議長国に就任する2020年上半期までに欧州為替相場メカニズムII(ERM II)に参加して、自国通貨クーナの対ユーロ相場を安定させ、「2期目在任中」のユーロ導入を目指す方針を示している。

プレンコビッチ氏は「クロアチアにおけるユーロ導入の戦略」と題する財界人との会合で、ユーロの導入時期に関する目標を打ち出した。同氏は「具体的な導入時期は設定しないが、政権2期目の間に実現したいと考えている」と発言。ユーロ導入基準のうち、国内総生産(GDP)比で80%を超える公的債務残高の削減が最重要課題との認識を示し、「20年までに債務残高をGDP比72%に引き下げる」と説明。財政赤字に関しては、16年のGDP比0.9%をさらに改善できるとの見通しを示した。

一方、クロアチア中央銀行のブイチッチ総裁は「ユーロ非参加国の中で、クロアチアは最もユーロ化(euroised)が進んでいる」と強調。ユーロ圏との貿易額が全体の約60%を占め、観光収入もユーロ圏からの観光客によるものが70%を占めていると説明した。同氏はそのうえで、国民の間で通貨切り替えに伴う物価上昇への懸念が根強い点に触れ、ユーロ導入の6カ月前から物品やサービスの価格をクーナとユーロで併記することを義務づけることで、便乗値上げを防ぐことができると述べた。

EU内では現在19カ国でユーロが導入されている。04年以降にEUに加盟した13カ国のうち、非ユーロ圏はチェコ、ポーランド、ハンガリー、ルーマニア、ブルガリアとクロアチアの6カ国。自国通貨とユーロの間で為替相場を一定の範囲で連動させるERM IIへの参加は原則として任意だが、ユーロ導入を希望する場合はERM IIに2年以上参加することが要件となる。