財務相理が租税回避地ブラックリストを承認、韓国やパナマなど17カ国・地域を指定

EUは5日開いた財務相理事会で、租税回避対策に非協力的な国・地域を列挙したEU共通の「ブラックリスト」を承認した。タックスヘイブン(租税回避地)を利用した多国籍企業などによる課税逃れ防止策の一環で、17カ国・地域がリストに含まれている。EU全体で課税逃れを容認している国・地域に対する監視を強化し、改善を促す。

EUではこれまで加盟国が独自にタックスヘイブンのリストを作成し、対象となる税法域の監視を行ってきた。しかし、タックスヘイブンを使った課税逃れの実態を浮き彫りにした「パナマ文書」の流出を受け、加盟国は2016年6月、EU共通のブラックリストを策定することで合意。欧州委員会が税の透明性、優遇税制、法人税免除やゼロ税率の適用などについて検証を行い、同年9月に租税回避を助長している可能性のある81カ国・地域を公表した。その後、リストに掲載する国・地域の最終調整が難航し、17年中のリスト承認は困難とみられていたが、先月初めに「パラダイス文書」と呼ばれる新たな内部文書が流出したことで、対策強化に向けた機運が高まった。

ブラックリストには韓国、パナマ、アラブ首長国連邦(UAE)、チュニジアなどが含まれている。ケイマン諸島やバミューダ諸島など英国の海外領土は除外された。このほかスイス、トルコ、香港など47カ国・地域が監視対象の「グレーリスト」に掲載された。これらの国・地域は税の透明性や租税回避対策での協力に関するEU基準に適合するよう、課税ルールの変更をEUに確約している。

今後はどのようにブラックリストに実効性を持たせるかが焦点となる。フランスなどは対象国・地域が租税回避を助長するような制度や法律の見直しに応じない場合、国際通貨基金(IMF)や世界銀行など国際機関による金融支援を縮小することを提案している。これに対し、ルクセンブルクやマルタなどは、投資家からの資金流入に影響が及ぶとして厳しい制裁の導入に強く反対している。

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