EU司法裁判所は12月20日、米配車サービス大手ウーバー・テクノロジーズが展開している事業はタクシーと同じ「運輸サービス」に該当するとの判断を示した。ウーバー側は自らを「情報社会サービス」企業と位置づけ、自社が提供しているのは運輸サービスではないと主張してきたが、今後はタクシー業界と同様の厳格な規制への対応を迫られそうだ。
ウーバーは創業翌年の2012年に欧州市場に進出し、営業免許を持たない一般のドライバーを活用した配車サービス「ウーバーポップ」の提供を開始した。スマートフォンのアプリを介してドライバーを手配し、低料金で客を送迎する同サービスは急速に浸透したが、ウーバーにシェアを奪われたタクシー業界が猛反発。今回の事案はスペインのバルセロナに拠点を置くタクシー運転手の団体がウーバーポップを巡り、EU司法裁に提訴していた。
ウーバー側はアプリで利用者とドライバーをつなぐ「情報社会サービス」を提供しているだけで、タクシーとは性質が異なると主張していた。しかし、司法裁はこれを退け、アプリ経由の仲介業務も「利用者を目的地に運ぶ運輸サービスの一部」にあたると結論づけた。
ウーバーはタクシー業界の強い反発を受け、すでに大半の都市で正規の免許を持つ運転手を使ったサービスに軸足を移しており、同社は今回の判決が欧州事業に影響を及ぼすことはないと強調している。ただ、実際にタクシー会社と同じ規制が適用された場合、運転手のトレーニングや車両のライセンス取得などが義務付けられ、コストや手続き面で新たな負担が生じることになる。また、規制が強化される中で革新的なサービスの導入が難しくなることも予想され、ウーバーは目標に掲げる19年の上場に向けて成長戦略の見直しを迫られる可能性がある。