欧州委員会は12月18日、オランダ当局の家具チェーン大手イケア(スウェーデン)に対する税優遇措置が違法な公的支援に当たる疑いがあるとして、本格的な調査を開始したと発表した。
欧州委が問題しているのは、イケアが世界各地のフランチャイズ店から売上高の3%をライセンス料として徴収するためオランダに設立した子会社に、オランダ当局が2006年から提供している優遇措置。欧州委によると、同子会社が収益の一部を課税が免除されるルクセンブルクのグループ会社に移転し、オランダで課税対象となる利益を抑えて節税することを認めていた。このようなケースに関するルクセンブルクの課税免除がEUの命令で廃止された11年からは、同社がリヒテンシュタインのイケア子会社から受けた融資の利払い分を課税対象外とすることで、節税を行っていた。
欧州委はこうした優遇措置を特定企業に認めることは、違法な国家補助に当たる疑いがあるとして、詳細な調査を実施する。イケアは同日、違法行為を否定しながらも、欧州委の調査に協力する意向を表明した。
欧州委は多国籍企業が各国政府との取り決めに基づいて課税逃れするケースへの取り締まりを強化している。これまでに米アップルとアイルランド、米アマゾンとルクセンブルク、米スターバックスとオランダの税優遇などを違法な国家補助と認定し、関係国政府に当該企業への追徴課税を命じた経緯がある。