欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/4/7

西欧

エティハド航空がアリタリアに出資へ、近く交渉開始か

この記事の要約

経営難に陥っている伊アリタリア航空への出資を検討しているアラブ首長国連邦(UAE)のエティハド航空が、アリタリアの資産査定を終え、近く出資交渉に乗り出すもようだ。欧州の主要メディアが一斉に報じた。 アリタリアは昨年、政府 […]

経営難に陥っている伊アリタリア航空への出資を検討しているアラブ首長国連邦(UAE)のエティハド航空が、アリタリアの資産査定を終え、近く出資交渉に乗り出すもようだ。欧州の主要メディアが一斉に報じた。

アリタリアは昨年、政府が主導してまとめた増資計画で、イタリア郵政公社などから3億ユーロの出資を受けて当面の運転資金を確保し、破綻の危機をとりあえず回避した。しかし、長期的な再建には新たなパートナーが必要となっており、エティハドが支援に名乗りを上げている。

消息筋によると、エティハドは3億ユーロを出資し、アリタリア株式の40%程度を取得して筆頭株主となることを提案する見込みという。

交渉で大きな焦点となると目されるのは、アリタリアが抱える債務の処理。エティハドはアリタリアの大株主である伊大手銀行ウニクレディト、インテサ・サンパオロに対して、約9億ユーロに上る債権の大部分の放棄、または返済期限の延長、株式への転換を求め、これが受け入れられた場合に限って本格的な出資交渉に入ると伝えられている。このほか、エティハドが求めるアリタリアの人員削減の可否も焦点となるもよう。

債務問題をめぐっては、大株主だったエールフランス─KLMに昨年、出資拡大を要請した際も焦点となった。最終的に意見の対立でエールフランス─KLMが追加出資に応じず、逆に出資比率を25%から7%に引き下げた経緯がある。

エティハドは当初、4日にもアリタリア側に出資計画を提示し、交渉を開始するとみられていたが、7日以降に持ち越した。EUの欧州委員会が同日、エティハドが出資する独エア・ベルリンなど域内航空4社で外資比率が高い点について、外国企業が実質的な経営権を持つことを禁止するEUルールに抵触する疑いがあるとして、調査開始を発表したことが背景にあると目されている。