ルーマニア国営ウラン会社への公的支援、欧州委が疑義

欧州委員会は8日、ルーマニア政府が計画している国営ウラン会社(CNU)に対する総額9,500万ユーロの支援策がEUの国家補助規定に違反していないか、本格調査を開始したと発表した。同国政府は2016年にCNUに対して1,330万ユーロの緊急融資を実施しており、同措置については欧州委も承認済み。今回の調査ではCNUの再建に向けた追加の支援策が焦点となる。

CNUはルーマニア国内の鉱山でウランを採掘し、原子力発電所で使用する二酸化ウラン燃料の製造を行っている。同社は最大の顧客だったルーマニア国営原発事業者SNNとの契約を失ったことで経営難に陥り、政府が救済に乗り出した。欧州委によると、ルーマニア政府はCNUに対して救済融資を実施した上で、再建に向けて低利融資、プラントの近代化を名目とする助成金、債務の帳消し、債務の株式化などを柱とする支援策をまとめ、17年6月に認可を申請した。

EUの国家補助規定は特定の企業に対する公的支援について、再建計画によって長期にわたる事業継続が可能で、市場競争が著しく阻害される恐れがないことなどを認可の条件としている。欧州委による調査では◇再建計画を実施した場合、CNUは公的支援に頼らずに長期的な事業継続が可能か◇CNUまたは市場の投資家が再建費用の一部を負担できるか◇政府はCNUへの支援による競争阻害を防ぐための対策を講じているか――などが焦点となる。

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