中国長江三峡、ポルトガル電力会社EDP買収へ

中国国有電力大手の中国長江三峡集団は11日、ポルトガル国有電力会社EDPの株式公開買い付け(TOB)を開始した。三峡集団はEDPの株式23.3%を保有する筆頭株主だが、TOBを通じて残り株式の取得を目指す。中国の国有エネルギー企業は欧州債務危機を利用する形でポルトガル企業の買収を進めており、取引が成立すると資産規模でポルトガル最大のEDPが中国企業の傘下に入ることになる。

発表によると、三峡集団は未取得のEDP株式76.7%を1株当たり3.26ユーロで買い取る。これは10日の終値に5.5%上乗せした水準で、買付代金は90億7,000万ユーロを予定している。議決権ベースで50%に1株を加えた株式の買い取りがTOB成立の条件。三峡集団はEDPの株式23.3%を約27億ユーロで取得しており、負債を含めた買収総額はおよそ256億ユーロ規模となる。なお、TOBが成立した場合、三峡集団はEDPの子会社で再生可能エネルギー事業を展開するEDP Renovaveisの株式17%の買い取りが義務付けられる。

EDPはポルトガル最大の電力会社でスペイン、ブラジル、米国でも事業展開している。ポルトガル政府は債務危機に際し、EUや国際通貨基金(IMF)から金融支援を受ける条件として国有企業の民営化に踏み切り、財政健全化策の一環で2011年にEDPの少数株を三峡集団に売却した。

三峡集団はEDPの買収が成立した場合も「ポルトガル企業としてのアイデンティティ」を尊重し、リスボン証券取引所への上場を維持すると説明している。ポルトガルのコスタ首相はEDPに対する買収アプローチについて、三峡集団から事前に連絡はなかったものの、TOBを阻止するつもりはないと明言。「政府としてEDPの買収に反対する理由はない。条件もつけない。中国企業はポルトガルにとって良き投資家だった。重要なのは株主が中国からの提案について熟考することだ」と述べた。

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