新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と日立製作所は8日、スロベニア国営送電会社エレスと共同推進しているスマートコミュニティ実証事業について、中小規模の配電会社向けのクラウド型統合配電管理システム(DMS)が完成したと発表した。再生可能エネルギーの普及と電力需要の増加をにらみ、適正電圧の維持や停電時間の短縮などの課題を解決する機能の検証を行うとともに、中小の配電事業者向けの事業モデルを構築する。今月末から試運転を行い、7月末から実証運転を開始する。
実証事業では、首都リュブリャナ近郊にあるデータセンターにサーバーを集約し、国内の配電会社2社に対して統合的なDMSサービスを提供する。当該のDMSは複数の事業者が利用可能で、再可エネ導入の阻害要因である電圧変動を緩和するVVO(電圧・無効電力最適化)機能や停電時間を最小化する事故監視機能などを装備している。
スロベニアは2020年までに最終エネルギー消費量の25%を再可エネで賄う目標を掲げており、16年11月に発効した地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」にも批准している。また、高い成長率を背景に電力需要も増大しているため、DMSの導入により配電管理技術の高度化が期待されている。