高級車大手の独BMWは、中国のリチウムイオン電池大手、寧徳時代新能源科技(CATL)に電気自動車(EV)用電池を発注する。BMWのハラルド・クリューガー社長がこのほどハンデルスブラット紙に明らかにしたもので、取引額は数十億ユーロに上る。CATLは同契約に伴い、独中部のエアフルトに電池セル工場を建設する。
BMWは同社初の自動運転機能付きEV「iネクスト」を2021年に投入する計画。CATLから調達する電池をiネクストに搭載する。
EV用電池の分野では日韓中メーカーの競争力が高く、欧州の自動車メーカーはアジア企業から調達している。しかし、電動車がEVの普及が拡大する中で、電池をアジア勢に依存することは、欧州メーカーの競争力低下につながる。
EUの欧州委員会は昨年、こうした事情を踏まえて、EV用電池を欧州企業が手を組んで生産する「汎欧州企業連合」構想を打ち出した。米ボーイングに対抗するため仏独英スペインの航空機メーカーが共同で立ち上げたエアバスをモデルとして想定している。
しかし、現時点では欧州企業がセルを量産する見通しが立っていないことから、BMWはCATLからの調達を決めた。クリューガー社長は、欧州企業が設立する企業連合に競争力があれば調達先候補となり得るが、現状では難しいとの認識を示した。