欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/7/14

EUその他

テレフォニカへの制裁は「妥当」、欧州裁が一審判決を支持

この記事の要約

欧州司法裁判所は10日、スペイン通信最大手テレフォニカに競争法違反で1億5,100万ユーロの制裁金を科した欧州委員会の決定は妥当とした一般裁判所の判決を支持し、テレフォニカ側の控訴を棄却した。 欧州委は2007年、テレフ […]

欧州司法裁判所は10日、スペイン通信最大手テレフォニカに競争法違反で1億5,100万ユーロの制裁金を科した欧州委員会の決定は妥当とした一般裁判所の判決を支持し、テレフォニカ側の控訴を棄却した。

欧州委は2007年、テレフォニカが国内通信市場における独占的地位を濫用し、自社の回線を利用してブロードバンド事業を展開する競合会社から徴収するホールセール料金を不当に高く設定することで公正な競争を阻害したとして、通信会社に対する競争法違反の制裁としては過去最高額となる制裁金の支払いを命じた。欧州委によると、テレフォニカは01年から5年以上にわたり、同業他社向けの回線使用料をリテール料金とほぼ同水準に設定していた。これによって競合会社は重いコスト負担のため利益が圧縮され、新規参入の障害になるとともに、料金を高い水準に設定せざるを得ない状況に置かれた。その結果、スペインではブロードバンド接続料金が従来からのEU加盟国の平均を20%上回り、消費者に深刻な影響が及んだ。

テレフォニカはこれに対し、欧州委が不当とした料金設定はスペイン通信当局に認可されているなどと反論し、決定の無効化を求めて提訴。欧州裁の一般裁判所は12年4月、同社の訴えを退ける判決を下したが、テレフォニカはこれを不服として上訴していた。

欧州裁は判決文で、テレフォニカはスペイン全土に固定電話の回線網を持つ唯一の通信会社であり、06年以前の段階で同業他社がブロードバンド接続サービスを展開するためには同社の回線網を利用する必要があったと指摘。たとえ同社のホールセール料金が通信当局に認可されていたとしても、ブロードバンド市場で公正な競争を阻害し、消費者に不利益を与えたテレフォニカの責任が軽減されるわけではないとして、制裁金の規模を含め欧州委の決定は妥当と判断した。