欧州委員会はインターネットに常時接続して情報端末としての機能を持つコネクテッドカーの本格的な普及に備え、EUレベルで規制や法律を統一するための準備を進めている。こうした中、独自動車大手BMW、ダイムラー、通信大手ドイツテレコム、スウェーデンの通信機器大手エリクソンは9日までに欧州委に書簡を送り、第5世代移動通信システム(5G)を利用した自動車用無線通信技術「セルラーV2X」を標準規格として支持するよう訴えた。EU全域で迅速に5Gネットワークを構築することで、2025年にかけて年15%の成長が見込まれるコネクテッドカー市場で欧州が主導権を握ることができると主張している。
セルラーV2Xは携帯電話の標準化団体が策定したあらゆるものと車をつなぐ通信技術。周囲の車両や道路インフラ、歩行者が携行する通信機器などとのやり取りが可能で、車載カメラやセンサーなどの機能を補完する技術として早期の実用化が期待されている。
ロイター通信によると、BMWやダイムラーなどは欧州委のユンケル委員長に宛てた書簡で、セルラーV2Xは無線LANを基盤とする「ITS-G5」より技術的に優れており、世界的にみて高い競争力があると指摘。「中国や米国などではすでに協調型高度道路交通システム(C-ITS)の標準規格としてセルラーV2Xが有力視されており、判断を誤れば欧州は競争上、不利な立場に置かれることになる」と警告した。
欧州委は書簡の受理を確認したが、内容についてはコメントを控えている。