工業ガス製造の独メッサーは16日、投資会社CVCキャピタル・パートナーズと共同で独同業リンデの北米事業の大半と南米事業の一部を買収すると発表した。米同業プラクスエアと合併する計画のリンデは、一部の事業を放出しないと独禁当局から承認を得られないことから、今回の事業売却を決めた。プラクスエアの欧州事業については、大陽日酸に部分譲渡することで合意している。
メッサーとCVCは合弁会社MGインダストリーズを通してリンデの当該事業を取得する。取引価格は33億ドル。取引の成立にはプラクスエアとリンデの合併を各国の独禁当局が承認するほか、MGインダストリーズによる今回の買収計画を独禁当局が承認することが必要となる。
MGインダストリーズがリンデから譲り受ける事業は従業員数が計5,100人。昨年の売上高は17億ドルだった。
メッサーは今回の取引に絡んで、欧州事業(ドイツ、スペイン、ポルトガル、フランス、ベネルクス諸国、デンマーク)をMGインダストリーズに移管する。同事業の売上高は昨年3億3,400万ユーロで、メッサーの世界売上高(12億ユーロ強)の3割弱を占めた。
メッサーは2004年、経営再建の一環で北米事業を仏同業エア・リキードに売却した。リンデの北米・南米事業を取得することで、今後は事業を再びグローバル展開していく方針だ。CVCの世界的なネットワークを活用する。