欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2018/7/30

EU情報

キットカット「形状」の商標登録認めず、EU裁が知的財産庁に再審査指示

この記事の要約

スイス食品大手ネスレのチョコレート菓子キットカットの「形状」をEU商標として認めるかどうかが争われた訴訟で、EU司法裁判所は25日、商標登録を無効とした一般裁判所の判決を支持し、ネスレの上訴を棄却した。その一方、一般裁判 […]

スイス食品大手ネスレのチョコレート菓子キットカットの「形状」をEU商標として認めるかどうかが争われた訴訟で、EU司法裁判所は25日、商標登録を無効とした一般裁判所の判決を支持し、ネスレの上訴を棄却した。その一方、一般裁判所の判決をめぐり、部分的な修正を求めて上訴していた米モンデリーズの主張も退け、知的財産庁(EUIPO)にEU商標の認定基準を満たしているかどうか改めて審査するよう指示した。

EUIPOは2006年、キットカットの4フィンガーと呼ばれる形状の商標登録を認めたが、ネスレと競合関係にあった英キャドバリー・シュウェップス(現在はモンデリーズの子会社)が意義を申し立てた。EUIPOが12年に申立てを却下すると、モンデリーズが一般裁判所に提訴。一般裁は16年、キットカットの形状がEU全域で十分に認知されているとはいえないとして登録を無効とした。ネスレは判決を不服としてEU司法裁に上訴。モンデリーズも英国、フランス、ドイツ、スペインなど域内10カ国では形状の独自性が広く認知されているとした判断に異議を唱え、司法裁に上訴していた。

司法裁は判決で、EU全域で認定基準を満たしていなければ商標登録を認めることはできないと強調。特にベルギー、アイルランド、ギリシャ、ポルトガルの4カ国ではキットカットの独特な形状が十分に認識されていないとした一般裁判所の判断を覆すには、より多くの国で十分な知名度があることを示す新たな証拠を提示する必要があると指摘した。そのうえで、EUIPOに改めて審査を行うよう指示し、結論が出るまでの間は4フィンガーの商標権が維持されるとの考えを示した。