英中銀が9カ月ぶり利上げ、政策金利0.75%に

英中央銀行のイングランド銀行は2日、政策金利を0.25%引き上げて年0.75%にすると発表した。利上げは昨年11月以来、9カ月ぶり。来年3月に迫ったEU離脱や、米トランプ政権の保護主義的な政策による通商紛争などのリスク要因はあるものの、物価は高止まりしており、利上げによるインフレ抑制が必要と判断した。

利上げは政策委員9人の全会一致で決め、即日実施した。一方、国債などの買い入れによる量的緩和の枠は、現在の水準(4,350億ポンド)を維持することで一致した。

議事要旨によると、金融政策委員会は1~3月期の実質GDP(国内総生産)が前期比0.2%増にとどまった点について、悪天候による一時的な景気減速と分析。4月以降は回復していることや、労働需給の改善が進んで賃金上昇圧力が高まっている現状を踏まえ、「継続した金融引き締めが妥当」と結論づけた。

カーニー総裁は記者会見で「国内要因によるインフレ圧力が高まっており、需要超過の見通しが出始めている。英経済が進んでいる軌道を考えれば、緩やかな利上げは正しい判断だ」と強調。そのうえで、EU離脱交渉は「これから重大な局面に入る」と指摘し、交渉が難航する中で利上げが消費行動や企業心理に影響を及ぼす可能性を示唆。今後の進展を注意深く見守る考えを示した。

英国では国民投票でEU離脱を決めた昨年6月以降、ポンド安が進んだ。英中銀は経済の先行き不安を払拭するため、同8月に政策金利をそれまでの0.50%から0.25%に引き下げるとともに、量的緩和の枠を拡大する大規模な金融緩和策に踏み切った。しかし、ポンドの下落による輸入品の値上がりや原油高が重なり、物価の上昇傾向が強まっていた。

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